三角関係?いや四角?

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三角関係?いや四角?

 今日も楽しい一日が始まる…… はずなんだけど……。  何……この空気?  いつもの通学路。  いつものように僕は彼と彼女の 後ろを歩いている。  ん? んんん?    僕の前には、僕の大好きな彼と、 その彼女……そして、何故か今日は あの娘が横一列に並んで歩いている。  彼を挟んで両サイドを歩くJK二人。  一切、言葉を交わそうともしない女子二人。 そして、無言で前だけを見て歩く彼……。  どうしてこんなことになったのかって?    それはね……  昨日の放課後のことなんだけど、  彼女が彼に言ったんだ。  「あの娘のことが好きなの?」  って……すると、彼はすかさずこう言ったんだ。  「何言ってるの? そんなことあるはずないじゃん」  「だって……あの娘が、私、飽きられてるって」  「はぁ? なんだよそれ……ってか、泣くなよ  そんくらいで……」   泣き出す彼女に彼は、頭をかきながら困った 表情を見せたんだ。    と、その時、二人の前にあの娘が登場……。  二人の姿を見ると、不敵な笑みを浮かべて、 「あら、どうしたの? 泣いちゃって」 あの娘の声に反応した彼女は、涙を拭くと、 「何でもないわよ! あなたこそ何なのよ」 とあの娘を睨みつけたんだ。お~怖っ! 「何って……私は彼と一緒に帰ろうって 思って。ね~、一緒に帰ろうよ」  彼に駆け寄り、彼に腕を組んだあの娘。  ひぇ~、何やっちゃってるの?  あんなに、密着しちゃって……  それに、何? 彼のデレた顔は……  れっきとした彼女と僕という友がいながら。  もうご理解出来ましたよね?  そう、僕は、彼の後をこっそりとつけ、  物陰にかくれて彼女との会話を盗み聞きしていた…… というわけ。  唖然とする物陰の僕と彼の前にいた彼女を見た あの娘は……  「ねぇ~、行こうよぉ~」  と猫ナデ声を出した。  「え……、でも俺には彼女がいるから」 彼があの娘に言った。  いいぞ~、そうだ! そうだ!  君には、れっきとした可愛い彼女が いるではないか。  そんな、訳のわからん転校生の女子に 心を奪われるな……。  僕は、心の中でそう叫んだ!  「別に彼女がいてもいいもん! 私、あなたの ことが好きだから、諦めないよ。これからは、 正々堂々と彼女に戦いを挑む覚悟!」  にこやかに、爽やかに微笑むあの娘……。  僕は慌てて彼の顔を見ると、  ひぇ~、君、なんちゅう顔をしとるねん。  デレを通り越して、直立不動になっとるやんけ。  要するに、あの娘からのド直球をまともに くらってしまったんだね……。  勝ち誇った顔のあの娘は、  ニコっと微笑むと、彼を連れてその場から いなくなった。  残された彼女と物陰にいた僕は、 とてつもない敗北感が襲ってきた。  物陰から恐る恐る僕が彼女の前に 歩み寄ると、彼女は目に大粒の涙を浮かべ、 僕に抱きついてわんわん泣き出した。  僕の制服は、彼女の涙でシミシミに なっちゃうほどに……。  それから、僕は彼女を泣きやませて、 「心配しなくて大丈夫だよ」  なんて励ましながら、カフェラテを 買って渡したんだ。  昨日の続きじゃないけれど、  僕の敵は当面の間、『あの娘』に変わった。  彼女とは、どうやら共同戦線になりそうだ。  今日も僕の一日が始まる。  困り果てた彼の顔も、なかなかのものだ。  僕は、やっぱり彼のことが大好き!        
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