1人が本棚に入れています
本棚に追加
※シーン02:その夜(朱亜からすもあへ)
※シーン02:その夜(朱亜からすもあへ)
ガチャ、バタン。
本日の職務すべて終了の儀……っと。
「……ふぅ……」
俺は——いや、あたしは、野暮ったい眼鏡とウィッグを放り出さんばかりに諸手を挙げた。
『瀬元朱亜(せもとしゅあ)』という名の普段のダサ執事の皮を脱ぎ捨てて、本来の性別の、『あたし』の声で喝采を上げる。
「やったぁ!明日はお休みだー!!」
「ああ、やっとこの屋敷から出られる…!わざとクソダサい男装をしなくてもいいんだぁ!……めいっぱい可愛い格好して、メイクもしよっと♡」
そして、姿見に映る『女の子の』すっぴんの自分を、しげしげと見つめながら、
「となると、まずは髪を染めてー、切って、巻いてー!それからお洋服見に行ってー…ああああ、楽しみ!!」
でへっ!昔なじみのサロンに行こう!
明日一日、目いっぱいかわいくなりたいもの!!
「それから……うん、もちろんあそこに……」
ちらりと見やったのは、貯金箱。
ふふふっ、虎の子の出番ね!!
そして、あたしは。念のために再び男装して、でもしっかりアラームをセットして、眠りについた。
最初のコメントを投稿しよう!