開闢相伝

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開闢継承者の2人の周りには、これから樹君を支えていく中心的存在となる、俺達5人、つまり五家の代表が座り、他は更に離れた場所に座っている おそらく俺が予定にない動きをしたところで、自分の持ち場を離れて即座に止めに入る者などいないだろう 何かに気付いての動きか、何らかの意味のある動き そう思わせるだけの信頼を確実に得ている、と思えるだけの努力をしてきた 儀式は予定通り順調に進み、いよいよ開闢継承となる 体から光が浮かび上がり、光の中には箱のような形 その中に菊の花が見える 俺を含め初めて見る者も多く、祝詞を唱えながらも、その光景に釘付けになっている 光はゆっくりと樹君の方に近づき、腹部辺りで止まる …もう少し 光は徐々に樹君の中へと吸収されていく 皆の緊張が少し解けていくのがわかる …今だ 淀みのない、儀式の一環かのような華麗な所作で樹君の背後に近づき、光の方向へと刀で一突きする 刀の先には光の端 その切っ先から血が滴りだす …成功だ これで俺達は楽になれる
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