開闢相伝

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「ただいま~。腹減った~」 「お帰り。早く着替えて手洗っといで」 ん?この匂いは…唐揚げ! 「いっただっきま~す!」 唐揚げは何十個でもいけるな 「父さんはまだ仕事?うち、けっこう神職の人達多い方なのに仕事終わんないよね」 週の半分以上は夕食時間にまだ仕事しているし、夕食後も何かしら仕事している 「神職の人が多い神社ってことは、やる事も多いってこと。神社に神職者1人ってとこも多いんだから。そういう所と同じ仕事量ってわけにはいかないでしょ?」 「げ~。じゃあ俺も毎日のように遅くまで働くことになるのかぁ」 自分の将来が明確に見えるってのは、いいのか悪いのか 「何言ってんの!通勤の行き帰り満員電車に乗らなくていいし、相当なことしない限りリストラの心配ないんだから、ありがたいと思いなさい」 まあ、それはそうなんだけど…って、え?今母さんリストラって言った? 「え!宮司でもリストラされることあるの?」 「だから相当のことしない限り大丈夫だって。人としての道外れない限りは大丈夫」 なんか…それ重いんですけど… 「はあ~。疲れが取れる~」 ゆっくりと湯船に浸かる 筋トレ後の風呂は最高だ 職業柄湯船に浸かる事が多いからか、単なる父さんの好みか、うちの湯船は大の大人が足を伸ばせる大きさだ さて、そろそろ出るか っと、鏡、鏡 この奇妙な花の蕾の紋様は、ずっとこのままではないらしい ある時期が来ると菊の花が咲いた紋様に変わるらしく、変化があったら教えろと言われている もう親がチェックする年齢でもないし、俺が気付くしかないが、つい忘れそうになるので、風呂に入った時に鏡で見るというルーチンにしている 「よし!変化な~し」
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