開闢相伝

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夏休みに入り1週間程過ぎた頃碧は実家へと帰った そして代わりに雪兎さんが来た 「お久しぶりです。またお世話になります」 「どうぞどうぞ。こちらこそ樹をよろしく」 母さんと仲良さげに話している ってか、別に俺も苛められたりするわけじゃないんだけど、変に馴れ馴れしいとことか、時々目の奥が笑ってないとことか、なんか苦手だ 「樹君、変わりはないかい?お、また背伸びたね」 「はあ、成長期ですから」 碧が家に居る時は、トイレと寝る時以外大体一緒に居る たまに話が盛り上がると俺の部屋で一緒に寝たりもする けれども基本的に家から出なければ一緒に居る必要はない 「樹君、この3日間の予定は?」 「特にないです」 即答する 予定がなきゃ、なんの関わりも持たずに済む 「え?特にって、せっかくの夏休みなのにどこにも行かないの?」 「はあ、特に行きたい所もないし、暑いので」 さっさとやり過ごしてリビングを出ようと思ったところに 「何言ってんの!10代の若者が!もっと夏を満喫しなさい!さ、雪兎君もスイカ食べて」 母さん…スイカは食いたいけど、今じゃない… 「ありがとうございます。嬉しいなぁ。今年まだスイカ食べてなかったんですよ」 「沢山あるから、どんどん食べちゃって」 この空気で出ては行けないな しょうがなくスイカを食べ始める 雪兎さんって幾つなんだろ? 背高いし、見かけいいし、モテそうだよな そう言えば、いつだったか、出掛ける為に声をかけに行こうとしたら部屋から話し声が聞こえてきて、ああ電話中かと引き返したことがあったけど… あの時の話し方、めちゃくちゃ優しそうだったな あれは絶対彼女だな ……毎回俺の長期休暇に合わせて来るけど、きっと迷惑なんだろうなぁ ぼ~っとしながらそんな事考えてると、 「なぁに?僕に見惚れてるの?」 急に目の前に雪兎さんの顔が出てきた 「うわっ!なっ!ちがっ!げほっ」 スイカの汁気管に入った~ 「何やってんの。落ち着いて食べなさい?お母さん買い物行って来るからね」 バタン 俺むせて苦しんでんですけど 「げほっ、げほっ」 「ほらほら、カッコいいお兄さんがさすってあげるから」 やめろ!男にさすってもらったって気持ち悪いだけだ! 「げほっ、も、だいじょ…ぶ」 グビッと水を飲んで落ち着かせる 「そう?それで?熱烈な視線を感じてたけど、僕に何か聞きたいことでもあるの?」 熱烈な視線なんて送ってませんけど 「聞きたいことっていうか、その…雪兎さんには雪兎さんの予定とかあるだろうし、仕事だからしょうがないって言えばそれまでだけど、俺が家から出なきゃ、わざわざ雪兎さんが来る必要もないと思うし、その…雪兎さんに傍に居て欲しい人とかも居るのかなって…。碧もそうだけど、もっとこうして欲しいとか言ってくれればいいのに…。俺だって我慢したり合わせたり出来る事あると思うし…」 そういう決まりなのかもしれないけど、俺だけが優先されるって、なんか理不尽だ 「………そうだね。出来る事と出来ない事が違ったって同じ人間なんだから、助け合えばいいのにね」 ? 俺が言った事に近いのかな? 難しくてよくわからない それに、なんか、笑ってるのに泣きそうな… 「まあ、僕は樹君の意見に賛成だけどね、頭の固いお偉いさん達は融通がきかなくてね。後々もっと面倒なことになるだろうから、今は大人しく言うこと聞いとこうよ。あ、ちなみに、仕事の都合で予定変更したり、一緒に居る時間が少なくなるからって怒るような人とは付き合わないから心配しなくていいよ」 さっきまでとは違った、頼れる兄ちゃんスマイルになり、最後に頭をポンポンしてくる 「あっそうですか。ってか、ポンポンやめて下さい」 怒るような人とは付き合わない、か つまりは選べる立場だって言ってるよな くそっ!モテ男め!
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