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「はい席着いてないー」
「……ああもう、うざ……」
別に席に着いていないと遅刻とかいうルールないだろ。なんなのこいつ、心の成長小学生で止まってんの?
「織田さん、早く席に着いて。委員長、号令」
「起立!」
「気をつけ、礼」
「お願いします!」
こうして無事に一時間目を迎えた私、
ここで最悪の事態に気付く。
「歴史の用意、忘れた……」
そんな私の独り言に、斜め前の席から振り返った颯が「はいおつー」と言ってきた。
……黙れぇぇぇ。
☆☆☆
「いやぁ瑞姫、災難だねぇ」
「そうなの、でもね自分が悪いの、これは」
「え、珍し。瑞姫がちゃんと自分で責任を負うなんて」
「どういうことよそれ。私がいつも他人に罪をなすりつけてるってこと?」
「まあ、割と……」
「え、どこが?」
隣の席の人に教科書を見せてもらい、前の席の人からルーズリーフをもらい、なんとか歴史を乗り切った。そして休み時間、友人の百田翠と長岡結依が私の席に来てこんなことを言ってきたのだった。
「でも今日寝坊したの最悪だった。誕生日なのに」
「あ……やば」
「ちょ、翠まさか忘れてたなんてことは……っ」
「えへ、ごめん」
「結依は……」
「ごめんなさーい!」
「もー。私は二人の誕生日ちゃんと覚えてるのにー!」
「ごめんって!でもなんで忘れたんだろ。七月七日とか、めちゃくちゃ覚えやすいのにね」
「それな。私もなんで忘れてたかわかんない。明日プレゼント渡すね」
「……ありがと」
「それでさ、あんた次の授業はちゃんと持ってきてるよね?」
「次って」
「数Ⅰ」
「……数Aならあるよ」
「ないんじゃん!ねえ今日何持ってきたの……?てこれ、全部昨日の授業!」
「通りで床に散らばってたわけだな……」
「今からでも遅くないよ。他クラスの人に借りてきたら?」
「……そーする」
ああ、泣ける。でもそれは全部自分が寝坊したせいだ。自分のせいだ。
私は教室を飛び出した……ところで、チャイムが鳴る。え、そんなに時間経ってたの?
もうまもなく二時間目が始まる。また周りの席の人に迷惑かけることになってしまった。
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