死にたがりのシャッター

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 駐車場に着いた時点で、姉にはメッセージを送信しておいた。真希の死に追いつかれるのは困るが、ロディの命は救ってほしい。その一心で、姑息な連絡をしたのだ。  きっと家の近所を中心に噂は広まって、SNSで叩かれる、なんてこともあるかもしれない。動物虐待、飼い主の身勝手……辛辣だが、こればかりは否定しようもない正論が、浮上しては消えていくのだろう。それとも、真希の存在など取るに足らないもので、何の波紋も起こらないのだろうか。 (そうね。結局は他人事だもの)  真希がボールを振りかぶる。  ロディがそわそわと、身を低くした。  茂る木々にぶつかったら失敗だ。だがなぜだろう。真希は絶対に上手く投げられる自信があった。別に元ソフトボール部でもなければ、投球に覚えのあるわけでもない。  それなのにただ一度きりの、この瞬間だけは、絶対に、確実に、自分を殺せる自信に満ちていた。  投げたボールが木々の間をすり抜けて、闇の向こうに消えていく。そうしてすとんと、真希も奈落に落ちるビジョンは完璧だ。 「ロディ! 行くね!」  バイバイ──。
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