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「ま、待って、待って待って待って! ウソでしょ!? 違うよね!?」
「いいえ、本当です」
絵麻の身体にムースの魂を容れる。
「ですが、ムースさんもあなたとの同居は嫌でしょうから、あなたには出ていってもらいましょう。それがあなたへの罰です」
「イヤ! イヤだあ! ごめんなさい! 謝るっ、謝るから、許して!! ひっ……」
叫ぶ口から、火の玉が飛び出そうになって、絵麻は両手で口を覆った。弾けそうに脈打つ心臓が痛い。全身が震えすぎて、足の感覚も感じられなかった。小さな手の下から、喘ぐような息と、くぐもった声が零れる。
「お願い……死にたくない、死にたくないよ。一生のお願いだから、助けて……」
蝶は満足げに口の端を歪めた。
「一生のお願い、お使いになられますか?」
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