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錆びたシャッターが、いかにも重そうな音を立てて開く。
「今、明かりを点けるから」
とりあえず休んでいきなよ、と彼は言う。
真希は今更ながら、のこのことついてきたことを後悔し、急に背筋が冷たくなるのを感じた。
ロディが吠えもしなかったからって、彼が善人であると、何を根拠に言えただろう。もしかしたら殺人鬼かもしれない。殺されなくても、酷い目に遭わせられるのかもしれない。どうしてそこまで考えなかったのだろう。不安の影がようやく追いついて、凄惨な未来図が真希の頭を瞬時に巡った。
そして同時に、ひどく渇いた笑みが溢れる。死にたいはずなのに馬鹿だなぁ、と自嘲した。
真希の背後で、シャッターが軋んで鳴きながら閉じられた。
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