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話せないから闇なんだ。外からは絶対に見ることができない断片。それを明かしてこそ、本当に闇が闇でなくなる。
私はその子の闇を消せたことが、素直に嬉しかった。
だから私はちょっと調子に乗った。
闇を抱えている人を見かけたら、片っ端から声をかけていく。大抵の人は私がしつこく必死に聞くのを見て、少しだけ話してくれた。でもやはりそういう場合は、見える闇が小さくなったり薄くなったりするだけで、消えることはなかった。
でもたまに、最初の子みたいに全てを話してくれる人もいた。その人が話を切り出す姿は、いつも何か決心を固めているように見えて、私なんかが聞いていい話なのかなって、ちょっとだけ踏みとどまることもある。だけどこれがチカラを持つ私の役目だと思って、とにかくじっと話を聞いた。
「誰かに話せてスッキリした。ありがとう」
そう言って感謝してくれる人は多かった。
だけどそれだけじゃないと、私は中学二年生の時、知ることになった。
私には一人の幼稚園からの大親友がいた。
駒井綾香。家が近くて、よく一緒に遊んでいた幼なじみ。
綾香はダンスを習っていて、流行っているアイドルのダンスをよく私にも教えてくれた。私も綾香にダンスを教わるのが好きで、二人で一緒にダンスをするのが何より楽しかった。
だけどある日のこと。突然、私は綾香の中に闇を見つけてしまった。
それ以来、私は綾香にうまく接することができなくなった。
綾香はそんな私の様子に気づいて、何度か「どうかした?」と声をかけてくれた。
でも私は、「なんでもないよ」と言い続けた。だけど嘘をつくことがとにかく後ろめたくて、ある日の放課後、たまたま誰もいなくなった教室で思い切って聞いた。
それなのに、綾香は何も答えてくれなかった。
「私は大丈夫だよ」
そう言うばかりで。
私は自分のチカラについて、家族を含め誰にも話したことがなかった。でも、私が声をかけた何人かの中では、私のチカラに気づいていそうな人もいた。綾香がそれを耳にしていたのかどうかはわからないけど、多分知られてはなかったと思う。
「ねえ、本当に?……私たち親友じゃん!なんでも聞くよ!」
なんで話してくれないんだろう。私とそこまで親しくない子ですら全てを話してくれた人もいたのに。なんで親友の綾香が話してくれないの?
「ねえ……」
何度目かわからないくらいの同じ質問をしようとした時、ついに綾香の中の何かがぷつりと切れたのがわかった。
「もう、何度言ったらわかるの!大丈夫だって言ってんのに!」
いつまで隠し通すつもりなんだろう。私は突然声を荒げた彼女に驚きつつも、言い返す。
「だって……私知ってるよ!何か悩んでることあるんでしょ?話聞くって言ってるじゃん!」
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