秘密の空間で

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秘密の空間で

「着いたよ……」天ちゃんが指差した先に 暗闇の空間にポツンと浮かぶ建物。 「わ~何これ?」と興奮する赤星に 「ここは?」と冷静に問いかけるライト。 二人の相反する反応を確認した天ちゃんは 口角を上げ、ゆっくり頷くと、建物の扉に 手を伸ばした。すると、頑丈そうな扉が ギギギとゆっくり開いた。 「おお~すげ~」と赤星の声が一段と 大きくなった。 「こっちだよ」と言うと天ちゃんが 建物の中に入り、二人を手招きした。 建物の中のまっすぐと伸びた廊下を、 天ちゃんの後をついて歩くライトと赤星は、 廊下の行き止まりの部屋の前に到着した。 大きく深呼吸をした天ちゃんがその部屋の ドアを開けた。 ドアが開くと、そこには、部屋の真ん中に 光るクリスタルの球体が浮かんでいた。 ライトと赤星と天ちゃんの三人は球体の 真下に来ると、頭上を見上げる。 「天ちゃん、これは何?」 ライトが天ちゃんに尋ねた。 「これは、『全銀河系を支配する大王様』 だけが操ることが出来る 『すべての種』だ」 「すべての種?」 「そうだよ、『すべての種』、つまり『起源』。  すべては、ここから始まる」 「え~と、大王様のものだということは、  わかった。  でも、それと、ライトが天ちゃんから 間違って地上に降ろされたことと、 どう関係があるの?」 赤星が天ちゃんに尋ねた。 「う~、『間違って』は余計だよ」 と口を尖らす天ちゃんが両手を頭上に掲げると ライトと赤星の顔を見て、 「今から言うこと、絶対に秘密だよ。 約束してね」と言った。 ライトと赤星は、ゆっくりと頷いた。
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