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「あーあ、一人で入っちゃったよー」
「勇気あるねー。うちのスタッフに誘っちゃう〜?」
二人は視聴者のコメントを読みながら、ふざけている。
NIGHTだけがカメラを廃墟に向けたまま、撮り続けている。
「さっきの女の子、こんな場所によく着物着て来れるな」
NIGHTが呟くと、それを聞いたウタが笑う。
「え〜? ワンピースだったじゃん」
NIGHTが廃墟を撮り続けて一分ほど経ったとき、二階の窓から白い顔が覗き、手を振っているのが見えた。
「おい」
NIGHTがhiroに声をかけた。
「あれ……? すげーな、あの子」
hiroが感心したように呟いたあと、
「ちゃんと戻れるかな」
と、続けた。
ウタが呆れたように一緒に廃墟に目をやる。
「戻れるでしょー、大丈夫って」
「ちょっと、俺、見てくる」
「え?」
ウタが止める前に、hiroが雨の中、走って廃墟の玄関から入っていった。
「ちょっと、ちょっと」
ウタがカメラに顔を向けて、NIGHTの指示を仰いだ。
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