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気づくと、二階から手を振っていた少女の姿は無くなっていた。hiroが少女を連れて外に出てくるのを、二人は待った。けれど、待てど暮らせど、一向に廃墟から出てくる様子がない。
「なんかやばいな」
NIGHTが呟いた。
「マジやばい」
ウタも同意する。
二人は駆け足で廃墟の玄関の前に立った。先ほど二人は確かに玄関から中に入っていった。しかし、最初に三人がここに来たときと変わらず、玄関は封鎖されて、中に入ることなどできそうにない。
慌てて二人は、撮影も忘れて、窓から中に入って二階へ急いだ。酔ってしまいそうなほど映像が揺れた。とても見られた映像では無かった。
NIGHTがようやくカメラをまともに構えた。その画角にhiroが写っている。口を開けてぼんやりと佇んでいる様子は、不安を誘う。
「ねぇ、hiro!」
ウタがhiroの肩を揺さぶった。hiroの上半身がガクガクと前後に揺れる。最後にはhiroの背中を、バンバン音がするくらい力一杯叩いていた。
「痛て!」
いきなり、hiroが大きな声を上げた。
「hiro!」
「おい、大丈夫か?」
ウタとNIGHTが慌てて声をかけた。
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