37人が本棚に入れています
本棚に追加
「痛ぇなぁ……、何だよ、突然」
まるで何事も無かったかのように、hiroがぼやいた。
ウタが泣きそうな声で、興奮して声を張り上げる。
「突然じゃないよ!」
「おまえ、ほんとにおかしかったよ」
NIGHTもウタに賛同した。
「あれ? 女の子は?」
hiroが部屋の中を見渡した。三人以外だれもいない。声を押し殺して様子を探っても、足音も何も聞こえない。窓の外でぱらつく、雨の静かに弾ける音だけが響く。
NIGHTが震える声で二人に言う。
「なぁ、これってみつちさんじゃね?」
「みつちさんって、おみず沼の妖怪かよ」
「まずいよ。俺たち、みつちさんに返事した」
NIGHTの手が震えているのか、画角が揺れる。
「あんなの迷信だろ? そんなのが怖いのか?」
hiroがからかう。
「怖いとか、そういう問題じゃないんだよ。やばいんだよ。なぁ、俺、祓える人知ってるから、今から行こう! ●●さんとこに行こう。●●さんなら、祓える! 早く! マジでやばいから!」
NIGHTは切羽詰まった声音で二人をせっついた。
「はぁ? お祓いとか、信じてんのか? そういうのは詐欺師だろ」
最初のコメントを投稿しよう!