君だけがいればいい

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「そうだ、織田主任。今度のプレゼン上手くいったらご褒美くださいよ」  それらしいもっともな理由を並べ立て、織田に強請る。  差し出した飴を受け取って、怪訝な顔をしながらも飯を奢る約束をした織田に、気取られないよう柔和な笑みをはりつける。  そして織田が手慰みに回している飴を引き抜き、袋を剥いでその唇に近づけた。  ──俺を受け入れて。  少しの間の後、素直に口を開いて飴を咥える織田を見て、沸々と背中が粟立つ興奮を覚える。 「俺マジで……頑張ってるんで、おねだりひとつ聞いてくださいね」  さぁ、俺のところまで堕ちてきて。  俺は、アンタだけがいれば、            それでいい。
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