第一話 怪しい人

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第一話 怪しい人

「いらっしゃいませ。」 私はいつもの調子で挨拶をした。 「これ、お願いします。」 私はお客様を見上げた。 (初めて見るお客様だなぁ…ってか何この人すごく怪しい…。) 黒い無地のキャップを深く被って、サングラスにマスクを付けていて、全身黒ずくめの男性が買い物に来た。 男性は背が高く、足が異常なぐらい長かった。 (この人大きいな!180センチぐらいあるかも…。) 男性は値引きシールが貼られた唐揚げ弁当と お茶をカゴに入れて持ってきた。 「かしこまりました。」 私は慣れた手つきでレジを通した。 「300円のお買い上げでございます。 お支払い方法はいかがなさいますか?」 私はその男性の方を見て言った。 「現金でお願いします。」 男性は小さな声でそう答えた。 「かしこまりました。 では、一番の会計機でお支払いお願い致します。ありがとうございました。」 私は丁寧に挨拶をしてお客様を見送った。 これが彼との出会いだった。
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