第二話 あの人

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「お疲れ様でした。」 僕は監督に挨拶をして現場からタクシーに乗り 次の撮影現場に向かった。 次は雑誌の取材とその雑誌の表紙を飾る写真撮影だった。 僕はいわゆる"売れっ子芸能人"だ。 毎日取材に撮影に大忙しだった。 それでも、僕にはどうしてもやめられない事があった。 それは、"唐揚げを食べる事"だった。 「依存症ですね…。」 病院の先生にはそう言われていた。 唐揚げに依存しているなんて、おかしな話だ。 でも、監督や周りの皆んなは僕の異常に気づいていた。 僕は唐揚げを食べると"吐いてしまう" それでも毎日、唐揚げが欲しくてやめられない 悪循環でしかなかった。 他の食べ物を食べても吐いたりはしなかった。 でも、唐揚げ以外は美味しいと思えなかった。 唐揚げは美味しいと感じた。 なのに、何故か吐いてしまうのだった。 原因が何なのか僕は分からなかった。 僕は定期的に病院でカウンセリングを受けていた。 カウンセラーの原さんはいつも親身になって 僕の話を聞いてくれた。 仕事の事、プライベートの事僕は何でも話していた。 話すだけで、気持ちが落ち着くのが分かった。 でも、どこかで闇を抱えていた。
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