23人が本棚に入れています
本棚に追加
「お疲れ様でした。」
僕は監督に挨拶をして現場からタクシーに乗り
次の撮影現場に向かった。
次は雑誌の取材とその雑誌の表紙を飾る写真撮影だった。
僕はいわゆる"売れっ子芸能人"だ。
毎日取材に撮影に大忙しだった。
それでも、僕にはどうしてもやめられない事があった。
それは、"唐揚げを食べる事"だった。
「依存症ですね…。」
病院の先生にはそう言われていた。
唐揚げに依存しているなんて、おかしな話だ。
でも、監督や周りの皆んなは僕の異常に気づいていた。
僕は唐揚げを食べると"吐いてしまう"
それでも毎日、唐揚げが欲しくてやめられない
悪循環でしかなかった。
他の食べ物を食べても吐いたりはしなかった。
でも、唐揚げ以外は美味しいと思えなかった。
唐揚げは美味しいと感じた。
なのに、何故か吐いてしまうのだった。
原因が何なのか僕は分からなかった。
僕は定期的に病院でカウンセリングを受けていた。
カウンセラーの原さんはいつも親身になって
僕の話を聞いてくれた。
仕事の事、プライベートの事僕は何でも話していた。
話すだけで、気持ちが落ち着くのが分かった。
でも、どこかで闇を抱えていた。
最初のコメントを投稿しよう!