最終話 好きな人

14/24
前へ
/110ページ
次へ
私はしゃがみ込んだまま泣いた。 「どうしよう…。 絶対誤解してる…。 私の話も聞いてもらえなかった…。  どうしたらいいの…。」 私が泣いているとたけるくんが優しく 手を差し伸べてくれた。 「千秋ちゃん…彼なんだね…。 千秋ちゃんの好きな人。  そうなんだね…?」 私は泣きながら頷いた。 「そっか…。  びっくりしたよ…。  まさか…あんな有名人と知り合いだった   なんて…。  話し…聞かせてくれるかな?」 私はたけるくんに今までの事を全部話した。 彼と出会った事や、記憶喪失の事、仕事を辞めた事、全て話した。 たけるくんは最後まで話を聞いてくれた。 「そっか…そうだったんだね…。  話してくれてありがとう。  俺…応援するよ。  きっと、これは奇跡なんじゃないかな?  だから、手放しちゃいけないと思う。  ここで泣いてる場合じゃないよ!  彼にちゃんと自分の気持ち伝えないと  一生後悔するよ!  さぁ、もう行きな!  俺は君の背中を押すよ。  好きな人には幸せになってもらわないと  困るから。  絶対に幸せになって!  じゃないと許さないからね!」 私は涙を拭いて立ち上がった。 「たけるくん…。  ありがとう…。 私、ちゃんと気持ち伝えるよ。  たけるくんのおかげで勇気がでたよ。  本当にありがとう。  じゃあ…私行くね!」 私はたけるくんにさよならを言った。 そして、走った。 たけるくんの気持ちが嬉しかった。 彼と出会えて良かったと心から思った。 (たけるくん…本当にありがとう。 さようなら…。) 私は走り続けた。 早くこの気持ちを彼に伝えたかったから。  
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加