最終話 好きな人

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「要さん…。 一つだけ…気になる事があって…。  あの…男って誰ですか?」 「えっ?あの男⁈」 「要さんに…抱きついていた…  あの…目黒に居たスーツの男です…。」 私は、それを聞いて変な酔っ払い男を想像して思わず笑ってしまった。 「あっ、あの男ってたけるくんの事かな?」 春くんはムッとした顔で言った。 「たけるって…誰なんですか?」 「私の初恋の人だよ。初めて付き合った  元彼なの…。  実は、誕生日の日に偶然会って、  彼にまた付き合おうって告白されたの…。  でも、さっきちゃんとお断りしてきたの。  私が、今好きなのは春くんだけだよ。  だから、勘違いして欲しくないの…。  分かってくれる?」 「初恋の元彼…。  俺…抱きしめられてるの見た時、正直、  凄くショックでした…。  俺は振られるんだ…って勝手に思い込んで、  だから、嫌な態度とった事…ごめんなさい。  ただの嫉妬です…。 俺は、要さんが思っている以上に  要さんの事が大好きなんです。  だから、要さんを独占したいって  思ってます。俺…欲張りなんです。  こんな俺でも好きでいてくれますか?」 「勿論だよ!私だって欲張りだし、  春くんの事独占したいもん!  ファンの子には申し訳ないけど… 私だけの春くんでいて欲しいの…。  だから、お互い様だよね?」 私達は見つめ合い、笑い合った。 春くんが私を抱きしめて言った。 「要さん!愛してます。」 「私もだよ。愛してる。」 その日はいつまでも、愛を語り合った。    
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