第二話 あの人

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「あの、実はこのお弁当私がお昼に買った物なんですよね…。食べる時間がなくて冷蔵庫で冷やしてたんですよ。こんなので良ければ差し上げます。」 店員さんは恥ずかしそうに話していた。 「えっ?いいんですか?  申し訳ないです…お姉さんのお弁当なのに… 本当にいいんですか?」 僕はただただ驚いていた。 「いつも、唐揚げ弁当買いに来てくれてますよね?いつものお礼です。それなら受け取ってもらえますか?」 僕は更に驚いた。 確かに毎日通っていたけど、覚えてもらえていたなんて驚くばかりだった。 「あっ、ありがとうございます。  わざわざ僕なんかのために嬉しいです。  じゃあ、買います。  ただで貰う訳にはいかないし! いくらですか?」 店員さんは笑って答えた。 「本当にお金はいりませんよ!  大丈夫です。差し上げます!  その代わりまた、買い物に来て下さいね。」 そう言って優しくお弁当を手渡してくれた。 僕はその店員さんの優しさに感激した。 「ありがとうございます。  このご恩は一生忘れません。  また来ますね!  本当にありがとうございました。」 僕は店員さんに挨拶をして店を出た。
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