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第三話 春
私はしばらく彼の後ろ姿を見ていた。
彼から貰った缶コーヒーとビール。
それから、携帯番号が書かれた紙。
そこには、"春"という名前も書いてあった。
(春…。まさかね…。)
私はいつものように居酒屋に入った。
「すみません。生一つお願いします!」
生ビールを飲みながら私は音楽を聴いていた。
この前のTV番組を観てから俳優の"春"に
ハマっていた。
春は歌が上手くて、演技も出来て、声優の
仕事もしていた。
何でも出来る彼に私は憧れていた。
(まだ若いのに、すごいな…。)
やっぱりいつも落ち込んでしまう。
自分には何もないからだ。
ただ、仕事に追われる毎日。
(人生ってこんなにつまらない物なのかな…)
私は春の歌声を聴いて泣いていた。
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