第三話 春

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私はとにかく急いで最寄り駅まで走った。 横浜駅から東京駅までは、何本も電車が走っていた。 私はとにかく春くんを一目見たくて収録現場まで急いだ。 ラジオ局の前には人だかりが出来ていた。 (あっ、ここだ…。収録まだ始まってないみたいだ。良かった…。) でも、前が全く見えないぐらいの人で溢れている。特に若い女の子が沢山いた。 (春くん…。やっぱり人気者だよね…。 私なんて最近春くんの事知ったばかりの新米だもんな…。この女の子達は大ファンだよね…。 すごいなぁ…。) 私は若い子達の中で浮いた存在だった。 しばらく待っていると周りがざわつき始めた。 「きゃー!かっこいい!春くーん!」 女の子達の歓声が上がった。 春くんがラジオスタジオに入って来たみたいだった。 私は一番後ろの方で背伸びをしてみたけど、全く見えない所だった…。 でも、春くんと他の出演者の声だけは外に聞こえるようになっていた。 (やっぱり見えないなぁ…。 流石芸能人だよなぁ…。春くんかっこいいし、 人気なのは当たり前だよね…。) 「皆さん、今日は公開収録に来て下さって 本当にありがとうございます。 凄いですね!こんなに集まってくれるとは 本当に嬉しいです。 皆さんが応援してくれるから、今僕はこうして頑張っていられます! 僕はいつも皆さんに励まされています! 今日は少しでも皆さんに楽しんでもらえるように、いろいろ企画してきたので、最後まで 楽しんで行って下さいね!」 春くんのメッセージを聞いて、女の子達は 歓声を上げていた。 私も春くんの姿は見えないけど、声を聞いて 感激していた。
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