第三話 春

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あっという間の収録だった。 結局、春くんの姿は一切見えなかった。 でも、近くで声が聞けただけでも嬉しかった。 (本当に素敵な声だよなぁ…。) 公開収録が終わって私はしばらくその場から離れられずにいた。 (声も良いけど…。やっぱり近くで顔見たかったなぁ…。前の方に居た人達が羨ましい…。) 私は空になったラジオスタジオの中を覗き込んだ。 (ついさっきまでここに春くんが居たんだよな) 見ていたらスタッフらしき人に声をかけられた。 「お客様…。大変申し訳ありませんが、 ここは立ち入り禁止になりますので、お帰り下さい。」 「あっ、ごめんなさい…。今出ます!」 私は慌ててその場を出た。 私は急いでラジオスタジオの前から帰ろうとした。その時だった。 「あの…要…さん?」
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