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彼は私の手を引っ張って走り続けた。
しばらく走ってから、細い路地を抜けて
誰も居ない小さな公園の方に私を連れて行った。
急に走ったせいで私はドキドキが止まらなかった。
「急にすみません…。
誰も居ない場所に行きたかったから…。」
私は息を切らしながら言った。
「ど、どうしたんですか?何か事情があるんですよね?何でも聞きますから…。」
彼も息が上がっている。
彼は息を整えて話し始めた。
「あの…。実は僕…。春なんです…。」
私は不思議に思った。
「えっ?名前?この前紙に書いてくれてたよね?
春くん?えっ?」
私は訳が分からなかった。
「僕が、春なんです。」
そう言って彼は帽子とマスクを外した。
そして、最後にサングラスを外して私に見せた。
そう、私の目の前にはさっきまでラジオの
公開収録をしていた、"あの春くん"が立っていたのだった。
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