第三話 春

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彼は私の手を引っ張って走り続けた。 しばらく走ってから、細い路地を抜けて 誰も居ない小さな公園の方に私を連れて行った。 急に走ったせいで私はドキドキが止まらなかった。 「急にすみません…。 誰も居ない場所に行きたかったから…。」 私は息を切らしながら言った。 「ど、どうしたんですか?何か事情があるんですよね?何でも聞きますから…。」 彼も息が上がっている。 彼は息を整えて話し始めた。 「あの…。実は僕…。春なんです…。」 私は不思議に思った。 「えっ?名前?この前紙に書いてくれてたよね? 春くん?えっ?」 私は訳が分からなかった。 「僕が、春なんです。」 そう言って彼は帽子とマスクを外した。 そして、最後にサングラスを外して私に見せた。 そう、私の目の前にはさっきまでラジオの 公開収録をしていた、"あの春くん"が立っていたのだった。
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