第三話 春

8/12
前へ
/110ページ
次へ
私は言葉を失っていた。 ただ、目の前に居る彼を見つめながら、 しばらくの間、動けなくなっていた。 (これは…現実なの…かな…?幻かも…。) 私は自分の頬を強くつねってみた。 「痛い…。何これ?現実⁈ あっ、嘘でしょー!」 私は当然大声を出してしまった…。 彼はびっくりしていた。 「あっ、あの?要さん? 大丈夫ですか?びっくりしますよね…。 急にすみません…。 本当はこの前打ち明けようかと思ってたんです けど、仕事があって急いでたから…。」 私は目の前にいるこの現実を受け止めてられなかった…。 芸能人…それも自分の推しが目の前にいて、 まともでいられる訳がなかった。 「あっ、あの…えっと…。 私…うまく喋れないです…。 だって…こんな事って…。」 春くんは私の様子を気にしている様だった。 「あの…。とりあえずあのベンチに座りますか?急に走らせてしまったし…。 疲れてますよね? 僕、何か飲み物買って来ますね!」 春くんは私をベンチに座らせてくれた。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加