第一話 怪しい人

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私はこの小さなスーパーの店長をしている。 小さいスーパーだけど、横浜だけで3店舗ある。 店長とはいえ、雇われている。 だけど、経験は長く高校生の時からこのスーパーで働いていた。 ここで働き出して今年で十二年になる。 私は高校を卒業して辞めるつもりでいたけど、 大学受験に失敗してしまい、 前の店長だった桜井さんに薦められて、 このスーパーに就職をしたのだった。 今桜井さんは、違う店舗の店長をしている。 十二年も経つと、ほとんどの事は大抵出来た。 仕事はできる…でも、私は悩んでいた。 "結婚"ができない事を…。 私は今年で29歳だ。 周りは結婚して子供がいる人ばかりで、 先週も親友から連絡が来て、二人目妊娠の報告をもらった。 (二人目って…羨ましい…私なんてまだ彼氏もいないのに…。) どんどん周りに置いていかれて、私は焦るばかりだった…。 私は高校二年の時一人だけ彼氏ができた事がある。でも、半年で別れる事になってしまった。 彼のお父さんが転勤で地方に行く事が決まって 家族みんなで引っ越してしまったのだ。 別れたくなかったけど、まだ子供の私達にはどうする事も出来なかったのだ。 引っ越してから、しばらくは手紙やメールをしていたが、 いつの間にか音信不通になってしまった。 自然消滅だった。 それ以来私は彼氏が出来なかった。
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