第一話 怪しい人

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「店長、お疲れ様でした。  お先に失礼します。」 レジのアルバイトの子が挨拶してきた。 「はい。お疲れ様。  気をつけて帰ってね。」 私は高校生のアルバイトの子を見ると、 自分の事を思い出すのだった。 (懐かしいなぁ…私もこんな時代があったな。) 私はレジを閉めて帰る支度を始めた。 いつも私が最終チェックをして、最後に店を出る。 店は朝10時から夜22時まで営業している。 定休日が水曜日だった。 私は水曜日以外休みがなく、朝から晩まで働き続けている。 もう、毎日へとへとだった。 夜二十三時。 私は最終チェックを終えて店を出た。 まず向かった先は近くの居酒屋だ。 店に入るなり、私はビールを注文した。 (やっぱりこれだよね! ビールがないとやってられない!) 私は周りを気にせず一気にビールを飲み干した。 「はぁ、美味い。やっぱりビール最高!」 私の楽しみは疲れた時に飲むこのビールだけだった。趣味もなく、ただへとへとになりながら、働くだけの毎日。 そんな毎日に嫌気がさしていた。 私が一人でビールを飲んでいると、 お客さんが一人、店に入ってきた。 黒いキャップを深く被って、サングラスにマスクをした、背の高い男性だった。
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