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「店長、お疲れ様でした。
お先に失礼します。」
レジのアルバイトの子が挨拶してきた。
「はい。お疲れ様。
気をつけて帰ってね。」
私は高校生のアルバイトの子を見ると、
自分の事を思い出すのだった。
(懐かしいなぁ…私もこんな時代があったな。)
私はレジを閉めて帰る支度を始めた。
いつも私が最終チェックをして、最後に店を出る。
店は朝10時から夜22時まで営業している。
定休日が水曜日だった。
私は水曜日以外休みがなく、朝から晩まで働き続けている。
もう、毎日へとへとだった。
夜二十三時。
私は最終チェックを終えて店を出た。
まず向かった先は近くの居酒屋だ。
店に入るなり、私はビールを注文した。
(やっぱりこれだよね!
ビールがないとやってられない!)
私は周りを気にせず一気にビールを飲み干した。
「はぁ、美味い。やっぱりビール最高!」
私の楽しみは疲れた時に飲むこのビールだけだった。趣味もなく、ただへとへとになりながら、働くだけの毎日。
そんな毎日に嫌気がさしていた。
私が一人でビールを飲んでいると、
お客さんが一人、店に入ってきた。
黒いキャップを深く被って、サングラスにマスクをした、背の高い男性だった。
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