第二話 あの人

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第二話 あの人

「はい。本番、よーい、アクション。」 カメラが回り始めた。 「僕は君の事が好きだ。  僕は君がいないと、何も手につかない  んだ。他には何もいらない。  君さえいてくれればいいんだ。」 彼女がそれに答えた。 「私も、あなたの事が好き。  あなたがいてくれればそれでいいの。」 二人は抱き合いキスをした。 「はーい、カット!」  カメラが止まる。 監督が僕を呼び出した。 「春、いいね!最近の演技最高だよ。 何かいい事あった?」 僕は答えた。 「実は、昨日美味い唐揚げと出会いました。」 監督は笑って言った。 「お前は、昔から本当に唐揚げが好きだな。  何でそんなに…。あっ、まぁそうだな!  で?それどこ?」 監督は何か言いかけて言葉を濁した。 僕は分かっていた。 監督は優しい人だ。僕が小さい頃からお世話になっている人だから。 僕の父親みたいな存在だった。
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