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私は春くんの告白を思い出していた。
(どうしよう…私…たけるくんにも返事
しないと…。
ずっと待たせる訳にはいかないよね…。)
私は迷っていた。
(モヤモヤした気持ちじゃだめだ…。
散歩でもしに行こうかな…。)
「お母さん。私ちょっと出かけてくる。」
「えっ?どこに行くの?」
「ちょっと、散歩して来る。」
「えっ?じゃあ、帰りに卵買って来て。
今日はあなたの好きなオムライスね!」
「わかった。
行って来ます。」
私はあてもなく、歩いた。
(あれ?ここ…この前来た所だ…。)
誕生日の日に母から地図を渡された場所に来ていた。
すると、後ろから声をかけられた。
「あっ、ねぇ?君…もしかして千秋ちゃん?」
「えっ?」
振り返るとそこには髭をはやしたおじさんが立っていた。
「えっ?おじさん誰ですか?
私の事知ってるの?」
「やっぱり。千秋ちゃんだね。
おじさんの事覚えてる訳ないよな…。
会ったのは小さい頃一度だけだもんな。
おじさんは、仲林っていいます。
君のお母さんとは同級生でね、
君が小さい頃、一度だけおじさんが経営して
いるライブハウスに遊びに来てくれた事が
あるんだよ。」
「そうだったんですね。
私、知らなくて…。
ごめんなさい。
ライブハウスってここですか?」
「そうだよ。
良かったら少し寄って行くかい?」
「あっ、はい。
じゃあ、ちょっとだけいいですか?」
私はおじさんの案内で地下へと続く階段を下りた。
階段の先に扉があって、開くとそこは広い空間が広がっていた。
舞台があって、フロアには椅子とテーブルがいくつも並んでいた。
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