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「えーと、何だ。濱中が落とした地図が何で宝の地図になるんだ」
「分からないかヨ? 金盗んだ奴がわざわざ地図持ってるんだから、現金をそこに隠したに決まってるんだよ!」
俺はその安直な説明に頭を押さえた。
海外サイトから暗号資産をサルベージして、わざわざ現金化して、静岡の森の中に隠す?
何のために?
と言うか、せっかくのネット上の資金を現金化する理由が先ず分からない。
とりあえず篠山は悪い先輩に引っかかったか、からかわれた線が高い。
あれこれ脱力していると、地図の目的の場所までたどり着いた。
森の中に何故か一軒だけあった、ボロボロになった民家。
朽ちて潰れているので中に入れる状態ではない。
あと目立つものと言えば、少し離れた場所にある古ぼけた井戸があるだけだ。
蓋がされて鎖が巻かれており、家同様年代物であろう。
「うわー。なんかリング的な螺旋的な貞ちゃん的なのが出てきそうな井戸なんだな。ちょっと引くんだな」
辺りはいつの間にか真っ暗だ。
歩き続けて足が棒のようである。
キャンプ場から何キロ歩いたのか分からない。
「こんな所に現金を隠す意味が分からんな」
「おう! でも、鎖が擦れたのか、何か井戸の側面に傷があるヨ! これ、最近開けたんじゃないかYo!」
俺は藤田と顔を見合わせた。
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