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嘘くさいが此処まで来たのなら仕方がない。
とりあえず井戸を開けて中を確認するしかないだろう。
オチがなければ女性陣に何と言い訳をして良いか分からない。
「いや、しかし、鎖どうするんだこれ? 南京錠三個もついてるぞ」
「そこは、某に任せるんだな」
そう言うと藤田は腰のポシェットからゴッツいハサミを取り出した。
「これはアメリカのディルグレン社製万能ハサミのプロ専用マルチプルシザーズと言うんだな。枝から金属まで、何でもキレる優れものなんだな」
何故か得意満面な藤田は、器用に鎖を切断していく。
確かに鎖自体は古くてサビでボロボロなので、石で叩いていても壊れそうである。
何とか蓋を開けると、三人は同時に井戸の中を覗き込んだ。
覗き込んだが……中は真っ暗で何も見えない。
そこで微かに奇妙な機械音を聞いた。
不思議に思ったが辺りは真っ暗闇なので何も見えない。
気になったのは俺だけだったらしく、篠山は気にした風もなく懐中電灯で中を照らしている。
ただ、光量が足らないようで底までは全く照らせていない。
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