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「ライト照らしてもそこが見えないんだYo? どうしようかヨ」
一応、釣瓶がついており、紐の付いた桶もある。
だが、相当古そうで強度は信用できない。
「ふふ。どうやら再び某の出番のようなんだな」
藤田のポシェットから見慣れないメジャーのようなモノを取り出した。
「これはイタリア社製の……」
説明は割愛するが、ようするに丈夫なワイヤーだそうだ。
山岳でも仕様できる代物で、成人男性の体重もささえられるそうである。
「あー。これは誰かが中に入って、井戸の底を調べるしかないよな?」
俺の素朴な疑問に反応して、篠山が一歩退いた。
単純なな選抜方法である。
藤田は悪く言えばデブだ。体重が一番重いし、横幅がヤバい。
次に俺だが、実は元柔道部である。
人を引き上げるにはパワーがいる。
篠山はDJ志望の細身で軽い。
そして、宝探しの言い出しっぺである。
「オウ。ここは俺の独り舞台かヨ」
泣く泣く篠山は井戸の底に向かう事となった。
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