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元のコジロー
「なーん」
鳴きながら、ざらざらした舌で顔を舐められて僕は目が覚めました。
クリクリした丸い目が僕を見つめながら、白靴下の前足でちょいちょいと顔をつついてくるコジローは、いつもの可愛いが過ぎるコジローでした。
「良かった。夢だった」
僕は可愛い猫のコジローを抱きかかえてスリスリしました。
「お前はこのまま、ありのままで良いんだよ」
「な~ん」
「あれ?コジロー、後ろ足片方、茶色多くなった?汚れたのかな?後でお風呂に入れてあげようね」
「うな~ん」
「あはは。そうだね。わかってるよ。ごは~んだね?……そうだ。今日はちょっと高い缶詰、開けちゃおうか」
「ナ~ン!」
僕はまだ知らなかったのです。
洗濯物の中に、僕のものではない白いスニーカーソックスが片方紛れ込んでいるのを……。
――続かない。
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