第五章

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「んっ……んうぅっ……」  ローションに沈めたブジーを先端の敏感な穴に埋めていく。瞬がもっとも苦手なこの責めは、何度されても慣れることなどなかった。くるくると回しながら奥へ奥へと挿し込んでくる忍の手に、尿道の中が縦にも横にも擦られてゾワゾワと肌に鳥肌が立つ。このまま進められてしまえば1番弱いところを容赦なく弄られることになってしまう。ぎゅっと内股になってそれを阻もうとする瞬を忍が「こら」と見咎める。 「ごめんなさいって言い出したのは君じゃないか。反省しているならちゃんとお仕置きは受けないと……ね? 脚、開いて。ちゃんとLookだよ」  突然ホテルのパーキングに車を滑り込ませたことに焦る瞬を連れて、忍は慣れた手つきでとある一室を選んだ。 「な、なんで……?」 「お仕置きするから」  アッサリと言われて瞬が絶句する。パドルの痛みを思い出して半泣きになる瞬に、忍は妖しく笑って見せた。 「痛いのは嫌? 大丈夫だよ。だったら限界まで気持ち良くしてあげるから」  平然とそう宣言され、体が忍の熱を思い出したように疼いてしまう。  思い返してみれば、忍と旅先で中途半端に体を重ねたきり一週間は何もしていない。禁欲というつもりはなかったが、そんな余裕がなかったのだ。だが確かに溜まってはいる。  首まで真っ赤に染まった瞬と共に部屋に入り、忍は途端にコマンドを落とした。 「kneel」  かくん、と瞬の膝から力が抜ける。ぺたりと座り込んで、濡れた瞳で忍を見上げる。愛おしそうにそんな瞬を見下ろしてゆっくりと頭を撫で、忍はベッドの端に腰を下ろした。 「Strip。脱げたらこっちにおいで。僕の足の間に座って」  指示されるまま、服を脱ぎ捨てて忍の前に座った瞬の顎を忍の長い指先が捉えて前を向かせる。大きな鏡に映し出された全裸の自分に瞬がぎゅっと目を閉じる。  その耳に舌を差し入れて嬲りながら、忍ははっきりとこう言った。 「Look。目を逸らしちゃダメだよ……」  ブジーが小さく抜き差しされる。ぎゅうっとつま先が丸くなり、耐えようと身悶える瞬のものがブジーの隙間から蜜をこぼす。  それ以上奥はダメだ。この先には男としての1番の弱点がある。 「や、やだ……っ、それ以上はダメっ……ああぁっ」  瞬の制止は呆気なく無視され、ブジーの先端が最奥の敏感な器官を押しつぶす。痺れるような、耐え難い快楽が襲う。これをされるとどれだけ出したくても出せるわけのない終わりの見えない快楽地獄に落とされてしまう。そのまま忍の指先は後ろの蕾までをもこじ開けて解し始める。1本や2本ならまだいい。3本を超えると、指とブジーの先端で挟まれた前立腺が逃げ場のない強烈な刺激に晒される。 「んあぁっだ、だめだって……や、だっ……これ、これいやっ……」 「嫌がることじゃないとお仕置きにならないだろう? ほら、また目を閉じてるよ。ちゃんとLook、できないの?」  性根の悪い忍の声にもSubとしての本能が従わなければ、と目を開かせてしまう。鏡に映った自分の蕩け切った顔と秘孔に潜り込む指の卑猥さに瞬時に目を逸らしたくなる。だが、Lookと言われているからには見ないわけにはいかない。それに背後に写る忍の顔はあまりにも煽情的で、普段はこの体勢では見ることのできない忍の獰猛な表情にぞくっと背が震えてしまう。 「……どうしたの? 鏡に映った姿に興奮した? いけない子だな」 「ちがっ……あああっ!!」  反論しようとした瞬を叱るようにブジーがぐりぐりと押し付けられ、指もさらに増やされる。 「違わないだろう? ほら、見てごらん。もうフィストだっていけそうだ」 「や、やだっ……そ、れは、やめてっ……本当に……怖いからっ……」  仕方ないな。そう呟いた忍はずるっと指を抜いてしまう。ビクビクっと跳ねた瞬の体を仰向けでベッドに押し倒し、頭上で手首を縛る。  そして平然とバイブを取り出して見せた。  瞬が呆然とする。 「俺……そんなの持ってきてない……」 「車に乗せてあるんだ。だから車を持ってきてもらったんだよ」  どこから確信犯だったのか、と瞬が瞳を歪めた。忍はそんな瞬に楽しそうに天井を指差して見せる。  視線を送った瞬が絶望的な顔をした。 鏡張りの天井にはあられも無い己の姿が映っていた。  言葉もない瞬を乗せて満足そうにホテルを出た忍が、タワーマンションのパーキングで思わず顔を綻ばせた。 「帰って来れたな……」  疲れたようにそう呟き、瞬の襟を引き寄せて唇を重ねる。  瞬も思わず笑う。唇を離したその目が、涙を滲ませて忍を見つめた。 「おかえり」
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