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優等生のあの子
私は、優等生。
休み時間で教室が騒がしい。
黒板にはまだ消されていない数式。
今日の日直が黒板を消すこと
になっているのだが……。
仕方ない。
私は、ため息をつき席を立つ。
黒板消しを手に取り、
特徴的な丸文字を消していく。
「あっ、まだ書いてたのにっ!」
その声に振り向くと、ツインテールの少女が
口をへの字に曲げていた。
確か、山本明菜といったか。
クラスのムードメーカー的存在だ。
めんどくさ……。
さっきまでアイドルの話をしてたのに。
「……あ、ごめんなさい。気づかなかった」
微塵も思っていない申し訳なさを声にも乗せる。
「もーっ」
彼女はしばらくもーもー言っていたが
私に気を遣ったのか真面目そうな女子が
何かを言うとと口を尖らせ
「むー、じゃ今日のところは許す」と
偉そうに腕を組んだ。
イラっとするが、私は
「ありがとう」とにっこり笑う。
男子の数人が色めき立っているのを感じて
鳥肌が立った。
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