優等生のあの子

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私は男子の視線に気付かぬふりをして 黒板消しを置き、授業の準備をする。 「零花(れな)ちゃん、ここ教えて?」 授業中にも関わらず、山本さんが後ろから 声をかけてきた。 私は笑顔を見せお決まりの言葉を口に出す。 「うん、いいよ〜!」 ことわざの穴埋め問題を丁寧に教える。 「零花ちゃんありがとぉ!」 教え終わると彼女はパァァッと 効果音がつきそうなほどの笑顔を見せた。 鬱陶しい。 おっと、危ない。 心の声が口に出ちゃいそうだった。 本音を隠す。 それが上手く生きていけるコツなのだ。
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