あの子の秘密

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あの子の秘密

帰宅後、寝室でまどろんでいると、 母の私を呼ぶ声が聞こえてきた。 またか。 私は、心の中でため息をつき、笑顔の仮面を被る。 階下に降りると、母が憔悴した表情を浮かべてあっちに行ったりこっちに行ったりを繰り返していた。 私に気づくと、母は安堵の表情を見せ 「……あぁ良かった。……良かった。 零花、心配させないで……」と 私を抱きしめた。 私は母の震えている手の上に自分の手を重ねる。 「大丈夫。大丈夫だよ、お母さん」 母は、あの日から極度の心配性になってしまった。 母に何も言わずに部屋に戻ったり、出掛けたりすると私を家中探す。 前は、パニックに陥り ご近所さんに「零花が行方不明になった」と 言いふらしていた。 誤解を解くのが大変だったな。 心配性というより、病気に近いのかもしれない。 私はそんな母が 鬱陶しくてたまらない。 私は感情を隠し生きていくしかないのだろうか。
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