あの子の秘密

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翌朝、先生に頼まれていた配布物を配り終えると 「冬川さん」 黒縁眼鏡をかけた男子が声を掛けてきた。 誰だったっけ。 うーん、地味すぎて思い出せない。 「これ、落としたよ」 「あ……ありがとう」 私はハンカチを受け取り、愛想笑いを浮かべた。 まぁいいや。 この男子のことはメガネくんと呼ぶことにしよう。 「……冬川さん、大丈夫?」 「え?」 心配そうな顔をしているメガネくん。 しかし、心配される心当たりはない。 「いや、なんか疲れてるような顔をしてたから」 その様子が母と重なる。 「そうかな。心配してくれてありがとね」 上っ面だけの笑顔を浮かべる。 「れーーなちゃーーーんっ」 山本さんが呼んでいる。 「はーい」と返事をして 私は山本さんの元に駆けていった。
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