3章:転機の領地視察

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「後日改めて声明を出し、説明責任を果たす。しばし待たれよ」  フェルナンがそう言うと貴族らは一斉に顔をしかめ、尚もしつこく追求してくる。 (ああ、もううんざりだ! これ以上、付き合い切れん!) 「今日の会議はこれにて終了だ!」  無理やり終わりにして席を立とうとしたその時、誰かの呟きが聞こえてしまった。 「あーあ。アラン殿下であれば、こんな時もきちんと対応してくださるのにな……」 「…………おい、今なんと言った!」  逆上したフェルナンの怒鳴り声に、ざわついていた会場が水を打ったかのように静まりかえる。 「今アランの名前を出した者は、前に出よ!!」  火山が噴火するかのごとく、それまで押さえ込んでいた怒りが一気に噴出した。 「その首、不敬罪で刎ね落としてやる!!」  両手で机を叩いて叫ぶと、人々が「ヒッ」と青ざめた。
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