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ベアトリスは僅かなひっかかりを覚えたが、文句を言ってフェルナンの機嫌を損ねたらまずいと思い、ひとまず口を挟まないことにした。
「ありがとうございます、殿下! ご褒美、楽しみにしてますわね!」
満面の愛想笑いで礼を言うと、フェルナンは複雑そうな表情でうなずいた。
✻ ✻ ✻
にこやかに笑うベアトリスと、それを見つめるフェルナン。
ふたりの様子を眺めていたセレーナは通信をぷつりと遮断した。
先ほどまでベアトリスの姿が映し出されていた鏡の中には、今はセレーナだけが映っている。
ほの暗い目で一点を見つめる、死人のように青白く覇気のない自分の顔が……。
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