3章:転機の領地視察

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3章:転機の領地視察

『視察の日まで、部屋から一歩も出ずに大人しくしていろ』  フェルナンにそう命じられ、私室に閉じ込められて早数日。 (このまま幽閉されていたら、情報収集できないわ。なんとかして外出禁止令を突破しなきゃ)  ベアトリスは瞳を潤ませ、か弱い乙女を演じてユーリスに泣きついた。 「うぅっ……このまま閉じ込められていたらノイローゼになりそうだわ……お願い、助けて、ユーリス……」  上目遣いで懇願すると、ユーリスは珍しく狼狽えた様子で答えた。   「わ、分かりましたから、泣かないでください。殿下に掛け合ってみます」 「ほんと!? ありがとう、ユーリス!」  ほどなくして、ユーリスがフェルナンを連れて部屋に戻ってきた。  「ヒマ、ヒマ、ヒマ」とブツブツ呟きながら落ち着きなく歩き回るベアトリスを見て、フェルナンが驚愕の面持ちでユーリスに問いかける。 「あいつは、どうしたんだ?」 「軟禁生活で精神的にかなり参っているようです。どうか外出の許可をお与えください。このままでは発狂しかねません」 「あの奇行、ただ事ではないな。頭がおかしくなっては困る。……致し方ない、外出を許可する。セレーナの名代として聖女の公務に復帰せよ!」 「よろしいのですか!?」  
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