3章:転機の領地視察

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 まずベアトリスが向かったのは神殿内の蔵書室だった。  聖魔法について調べたいことがあったからだ。 (鉱山に追放された後はかなり力が落ちたのに、最近になって急に復活した……いえ、それどころか以前より強まっているのは、なぜかしら?)  文献を片っ端から読んでいると、ふと気になる研究資料を見つけた。 【聖女の力は心と密接に繋がっており、心身の成長により強化される。逆もまたしかりである。憎悪、復讐心、怒り、これらの感情は闇の力を強め、神聖力の減退を招く】  この内容を自身に当てはめてみると、追放され復讐心に駆られたことで神聖力が衰えたが、改心したことで蘇ったということだろう。 (力が強まり続けているということは、今の私はきっと聖女として正しい道を歩めているのよね?)  思案しながらページを(めく)っていると、ふいに人の気配がしてベアトリスは顔を上げた。    聖女見習いが数人こちらの様子を窺っており、目が合った瞬間、慌ててうつむく。
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