プロローグ~追放された悪役聖女、リベンジを誓う!~

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 ろくな弁明の機会も与えられず、移送用の馬車に放り込まれて、それからは悪夢のような強制労働の日々。    第一王子の婚約者から、一夜にして罪人に。  まさに天国と地獄。絵に描いたような転落人生だわ──と、ベアトリスは己の運命を呪った。    噂によると、ベアトリスが追放されてすぐに、バレリー伯爵とベアトリスが起こしたとされる呪具事件が新聞で大々的に報じられたそうだ。  ほどなくして、見習いだったセレーナは聖女に昇格。王太子フェルナンとの婚約も本決まりになり、王室から公式声明が発表された。  ベアトリスが『稀代の悪女』として非難される一方、セレーナは『悲劇の真聖女』として国民から神聖視されているという。  使用人として虐げられていた状況から一転。王子に見初められ婚約者にまで上り詰めたセレーナの人生が、舞台劇や本の題材として取り上げられ、人気を博しているのだとか。   (このままじゃ私は、悲劇の聖女様を虐げた【悪女】として、歴史の一頁に刻まれる。汚名を着せられたまま、こんなところで朽ち果てるのは絶対にご免よ!)    なんとしてでも、この強制労働所から出て、王都へ戻らなければ。  そして自分を陥れた者を見つけ、必ず復讐してやる!と、ベアトリスは固く心に誓った。 (墜ちるところまで墜ちたら、あとは這い上がるだけよ)    どこに追放されようとも、踏みつけられようとも、何度だって返り咲いてみせる──!
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