3章:転機の領地視察

8/54
1006人が本棚に入れています
本棚に追加
/230ページ
 特に、平民出身で後ろ盾のない見習いはあからさまに見下され、虐められている子もいる。  その結果、思い悩み、辞めていく者も多い……。 (神殿のブラック労働は、聖女の人手不足が原因だと思っていたけど、違ったわ)    聖女の卵である見習いの数は他国と比べても十分多い。    にもかかわらず、神殿のサポート体制が整っていないせいで、毎年多くの見習いが志半(こころざしなか)ばで去ってしまっている。  そのため人手は一向に増えず、ひとりあたりの仕事量は膨大に。聖女は後進を育てる余裕がなく、さらに見習いが辞めていくという悪循環に陥っている。  この負の連鎖を止めない限り、組織(しんでん)は衰退する一方。    なんとか手を尽くしているが、ベアトリスにはもうあまり時間がない。 (時間も自由も、権限もない。ないない尽くしね)
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!