3章:転機の領地視察

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「神殿では『聖女たるもの闇の魔法には触れるべからず』と教えられるでしょう……。ですが知らなければ、対策のしようがありません」  大切な教え子たちが、無知故に誰かに陥れられ、呪具に関わって破滅しないように。 「国を守るため、そしてなにより自分自身を守るため、闇魔法について知り、適切に対処していきましょうね」 「はい、セレーナ様!」  ベアトリスは祈りを込めて、彼女たちに注意を促した。    ✻  ✻  ✻      その数日後、ベアトリスとフェルナンは王都を離れ、領地視察へと旅立った。  向かう先は、広大な領地を所有するヘインズ公爵領。    これから数日間、王侯貴族が公爵邸に集まり大会議が催される。  馬車が目的地であるヘインズ領に入った頃、フェルナンが物憂げな溜息をついた。 「どうしたの? いつも俺様ドヤ顔の貴方が、そんな憂鬱な顔をするなんて珍しいわね」 「お前は俺のことをなんだと思っているんだ? はぁ……これから毎日ヘインズ公爵と顔を会わせるかと思うと、気が重いのだよ」 (ヘインズ公爵ねぇ。たしかに、フェルナンとは政敵ですものね)
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