1章:悪役聖女の脱獄計画《プリズン・ブレイク》!

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1章:悪役聖女の脱獄計画《プリズン・ブレイク》!

 ベアトリスの追放先は、王国の山岳地帯にある採石場だった。  労役を課された囚人たちの朝は早い。    太陽が昇る前に叩き起こされ、男たちは採掘のため鉱山へ。  女たちは宿舎の炊事洗濯や鉱石の仕分け作業に追われる。  仕事は夜まで続き、疲労と空腹で意識を失うように眠れば、またすぐに朝。  元聖女のベアトリスには通常業務に加え、負傷者を聖魔法で治療する仕事も与えられた。   (今日の患者はこれで終わりね。はぁ、疲れた)  ぐったりしていると、看守が険しい顔で近づいてくるのが見えた。    なにか嫌な気配がする。    面倒事を押しつけられるのだけは勘弁……!と思い逃げようとしたが、「おい、待て!」と怒鳴りつけられ、ベアトリスは渋々立ち止まった。   「最近、救護室の薬品の数が合わないんだが、まさかお前が盗んでいるんじゃないだろうな」   「私は自分で怪我を治せるのよ。薬品を盗む理由なんてないわ」   「チッ、罪人のくせに、生意気な奴め。備品の紛失は救護室担当のお前の責任だ。ふん、このまま紛失が続くようなら、お前が盗んだことにして上に報告してやるぞ。そうなれば、さらに刑期が増えるだろうなぁ!」   「はぁ!? そんな事をして、貴方になんの得があるのよ」    
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