3章:転機の領地視察

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『殿下、実はわたし……以前は、もっと強い力があったんです……』 『あった? ということは、今は違うのか?』 『はい……不思議なことに……ベアトリスが上級聖女になってから、力がなくなってしまって……』  フェルナンは専門家ではないので分かりかねるが、病気や加齢で能力が衰えるならまだしも、急に失うのは不自然すぎる。 『……もしや、呪具……』 『えっ……!? ベアトリスが、呪具を使って……わたしの力を……?』 『いや、ただの憶測だ。すまない、今の話は──』    『忘れてくれ』と言いかけた時、セレーナが珍しくフェルナンの言葉を(さえぎ)った。 『実は! ベアトリスがとても大切にしているネックレスがありまして……それを見ると、わたし、とても気分が悪くなるのです。もしかして、あれが……』 『本当か!? すぐに専門家に見せてみよう。持ち出せるか?』 『や、やってみます!』
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