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ユーリスの囁きが聞き取れなかったフェルナンは、思わず眉をひそめた。
発音からして共和国語だろう。意味は分からないが、なんとなく悪口を言われたような気がする。
「お前、今なにを言った!?」
「お見受けしたところ殿下は酔っておられるご様子。もう遅いですし、お休みになられた方がよろしいかと。それでは、これにて」
こちらの質問には一切答えず、ユーリスが淡々と部屋のドアを閉めようとするが、フェルナンはとっさに扉の隙間につま先を入れて阻んだ。
「イテテテッ!! 痛い! 開けろ、そこを退け! 俺はベアトリスに用があるんだ!」
立ちはだかって譲らないユーリスにイライラしていると、部屋の奥から「お通しして」というベアトリスの声が聞こえてきた。
「どけ!」
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