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悪態をつけばつくほど、胸の内から憎しみが湧き上がってくる。
なぜだろう? 怒りの感情が止まらない……。
「そうだ。あいつは呪具を使いセレーナを虐げ、力を奪った罪人だ! 一瞬でも信じた俺が馬鹿だった!」
「殿下。それでは……わたし、これからベアトリスの部屋に行って……身代わりの終了を伝えてきます」
「ダメだ! 相手はあのベアトリスだぞ。君ひとりでは危険だ」
「護衛を連れて行きますから……平気です。今ベアトリスは怒っているのでしょう? ……殿下が行けば、きっと喧嘩になってしまいます……」
「……そう、だな。分かった、ひとまずセレーナに任せるよ」
「はい。では行って参ります……」
いつもどおりの微笑を浮かべ、セレーナが部屋を出ていった。
それから数分後──。
「きゃああああッ!!」
隣の部屋からガシャーンと何かが割れる音がした後、突如として甲高い悲鳴が聞こえてきた。
驚いたフェルナンは慌てて自室を出て、隣の部屋に駆け込んだ。
「……っ! なんということだ……」
全身真っ赤に染まり、床に倒れ込むセレーナの姿を見て、思わず息を飲む。
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