3章:転機の領地視察

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 悪態をつけばつくほど、胸の内から憎しみが湧き上がってくる。    なぜだろう? 怒りの感情が止まらない……。 「そうだ。あいつは呪具を使いセレーナを虐げ、力を奪った罪人だ! 一瞬でも信じた俺が馬鹿だった!」   「殿下。それでは……わたし、これからベアトリスの部屋に行って……身代わりの終了を伝えてきます」   「ダメだ! 相手はあのベアトリスだぞ。君ひとりでは危険だ」   「護衛を連れて行きますから……平気です。今ベアトリスは怒っているのでしょう? ……殿下が行けば、きっと喧嘩になってしまいます……」 「……そう、だな。分かった、ひとまずセレーナに任せるよ」 「はい。では行って参ります……」    いつもどおりの微笑を浮かべ、セレーナが部屋を出ていった。    それから数分後──。     「きゃああああッ!!」    隣の部屋からガシャーンと何かが割れる音がした後、突如として甲高い悲鳴が聞こえてきた。    驚いたフェルナンは慌てて自室を出て、隣の部屋に駆け込んだ。 「……っ! なんということだ……」  全身真っ赤に染まり、床に倒れ込むセレーナの姿を見て、思わず息を飲む。
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