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「セレーナ! セレーナ!」
急いで助け起こすと、ぐったりとしたセレーナが薄く目を開けた。
前髪の隙間から赤い液体が滲み、ぽたりとこぼれ落ちる。
……血だ。額から血を流している。
フェルナンは近くで棒立ちになっているポールを怒鳴りつけた。
「いったい、どういうことだ!」
「すっ、すみません……! ベアトリス様がいきなりワインボトルでセレーナ様をなぐり……急なことで反応できずに、も、申し訳ございません……」
「違う……私はそんなこと、していない!」
ポールの言葉を遮りベアトリスが叫ぶ。
フェルナンはセレーナを守るように抱きしめながら、顔面蒼白のベアトリスを睨んだ。
「俺の大切な婚約者を再び傷つけるとは、貴様はやはりとんだ悪女だな」
「違います! きちんと話を聞いてください、お願いします!」
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